世界の地熱発電

日本の地熱発電

日本の地熱発電の歴史は、1919年4月に海軍中将・山内万寿治氏が、将来の石油、石炭枯渇に備え代替熱源として地熱利用を進めるべく国内を踏査した結果、大分県別府市で噴気孔掘削に初めて成功したことに始まります。

 

1925年11月日本最初の地熱発電に成功(出力1.12kW)

山内中将の事業を引き継いだ東京電燈(株)研究所所長・太刀川平治氏が、日本最初の地熱発電に成功。この時の発電出力はわずか1.12kWであったが1年6ヶ月発電を続けたと地元風土記(恒松栖著:湯山の里風土記 2013年出版)に記載されている。
それから、第二次世界大戦が終わるまで大きな発展は見られませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

太刀川平治著「地熱発電の研究」より
(1930年出版:日本動力協会)

 

日本初の地熱利用発電所内における
タービン、ストレーナーおよび排気管
大正14年12月28日撮影

 

戦後の復興に欠かせない電力の安定供給という大きな課題に対して国は、水力や大型火力の建設を進めるとともに、地熱の実用化に向けた調査・研究開発にも力を注ぎました。

 

1947年1月 地質調査所が地熱開発地域の選定に関する調査研究開始。

 

1949年 九州配電(現九州電力)が大分県下の地熱地帯調査と発電の研究開始。

 

1966年10月日本で最初の本格的地熱発電所が運転開始(出力9500kW)

その努力が実を結び岩手県に日本で最初の本格的地熱発電所として、日本重化学工業(株)によって蒸気卓越型の松川地熱発電所が運転を開始しました。発電出力は9500kWです。

 

 

 

松川地熱発電所
蒸気卓越型(ドライスチーム)
1966年10月8日運転開始
出力9500kW(現在23500kWで操業)
現在は東北水力地熱株式会社が運営
岩手県八幡平市

 

1967年8月日本で初めての熱水卓越型地熱発電所が運転開始(出力11000kW)

九州電力(株)が日本で初めての熱水卓越型(分離型)の地熱発電所を大分県九重町に建設。大岳発電所として出力11000kWで運転を開始した。この2つの発電所の成功によって地熱開発は大きく進展していくことになります。

 

大岳発電所 提供:九州電力株式会社

熱水卓越型シングルフラッシュ
1967年8月11日運転開始
出力11000kW(現在12500kWで操業
大分県玖珠郡九重町大字湯坪

 

1973年10月 自然公園法、自然環境保全法の一部改正。第一次石油ショック。

 

1974年7月 通商産業省工業技術院がサンシャイン計画をスタート。

 

1974年 サンシャイン計画がスタート

 

1976年 資源エネルギー庁が地熱開発基礎調査を開始

 

1977年9月 通商産業省資源エネルギー庁が地熱開発基礎調査を開始。

 

1978年 第二次石油ショック、日本地熱学会設立

 

1970年代以降二度にわたる石油ショックを契機にサンシャイン計画と呼ばれる石油代替エネルギー政策に後押しされ国内の地熱開発は大いに進展。
東北・九州地域を中心に発電所建設が相次ぎ、1996年には地熱発電設備50万kWを達成。この間、日本の地熱発電技術は世界有数となりました。

認可出力と発電電力量の年次変化

出典:火力原子力発電技術協会

地熱発電の現状と動向 2010.2011年版、平成24年

地熱開発の現状
2001年時点では、東北・九州地域を中心に地熱開発が進み
18地点20プラント(出力535.25MW)の設備があり、着実に運転を続けています。

 

1977年6月日本最大の地熱発電所@号機が運転開始(出力55000kW)

九州電力がダブルフラッシュ型で55000kWの発電出力を有する地熱発電所を大分県九重町八丁原に建設運転を開始。1990年には2号機が運転を開始し合わせて11万kWとなり、日本最大規模の地熱発電所となった。発電所の監視と運転は2km離れた大岳発電所から遠隔操作されている。

 

八丁原発電所 提供:九州電力株式会社

 

1980年5月 「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法津」制定。

 

1980年9月 「財団法人新エネルギー財団」設立(財団法人日本地熱資源開発促進センター解散)。地熱発電所調査井掘削補助金制度創設。

 

1980年10月 「新エネルギー総合開発機構」(現「新エネルギー・産業技術総合開発機構」、NEDO)設立。NEDOが地熱開発促進調査開始。

 

1980年 財団法人新エネルギー財団設立(NEDO) 地熱開発促進調査を開始

 

1985年 地熱発電開発費補助金制度創設

 

1996年 地熱発電設備50万kWを達成

 

2000年 電気事業法改正による電力自由化

 

 

 

2003年 RPS法施行

 

2005年 京都議定書発効

 

2006年4月 日本初のバイナリー発電所(八丁原)が2000kWで運転を開始

 

2015年6月バイナリー方式としては日本最大の地熱発電所が運転開始(出力5000kW)

九電みらいエナジー(株)が九重町に日本最大級(5000kW)のバイナリー発電所の運転を開始

 

提供:九電みらいエナジー(株)

 

 

2012年 固定価格買取制度(FIT)が開始。これをきっかけに民間によるメガソーラーと呼ばれる太陽光発電施設が日本各地に建設される。

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