世界の地熱発電

世界の地熱発電

世界の地熱資源量を比べると、世界最大規模の地熱地帯(ザ・ガイザーズ地熱地帯)をもつ合衆国が第1位、多くの火山島からなるインドネシアが第2位で日本は世界第3位に位置しています。
世界から見ると日本は有数の地熱資源国ですが、発電設備容量で見ると、近年では、インドネシア、ニュージーランド、アイスランド、ケニアで地熱開発の伸びが著しく、日本は2015年に、ケニアに抜かれて、世界第10位まで後退しています。

 

世界各国の地熱資源量

順位

国名

資源量(万kW)

アメリカ合衆国

3,900

インドネシア

2,700

日本

2,300

フィリピン

600

メキシコ

600

アイスランド

580

ニュージーランド

370

イタリア

150

※1万KW=10MW
出典:村岡洋文、OHM社2011.7をもとに作成

 

地熱発電設備容量の変化

 

世界各国の地熱資源設備容量

 

東北と九州に多い日本の地熱発電

日本の地熱発電所は火山帯や地熱地帯の分布から、東北と九州に集中的に建設されています。
全国の地熱発電所の発電出力を合計すると約52万kw、発電電力量は2,559GWh(2015年度)、これで日本の電力需要の約0.3%を賄っています。

 

国内最大の発電所は大分県の八丁原発電所で、昭和52年6月に1号機(出力55,000kW)が、平成2年6月には、2号機(出力55,000kW)が完成しました。
九州では、大岳発電所(出力12,500kW、昭和42年8月完成)についで2番目、全国では5番目です。
発電所の運転や計器の監視は、約2キロメートルはなれた大岳発電所から行っています。
他にも日本で唯一離島にある東京都・八丈島地熱発電所や、50年の歴史を誇る岩手県・松川地熱発電所などがあります。
(出典:火力原子力発電技術協会、地熱発電の現状と動向2014年)

 

稼働中の地熱発電所(2016年現在)

No   所在地 発電 蒸気・熱水供給 認可/認定出力(kW) 発電方式 運転開始日 FIT制度活用の有無
1 森発電所 北海道 森町 北海道電力(株)   25000 DF 1982/11/26  
2 松川地熱発電所 岩手県 八幡平市 東北自然エネルギー(株)   23500 DS 1966/10/08  
3 葛根田地熱発電所 岩手県 雫石町 東北電力(株) 東北自然エネルギー(株) (1号)50,000 SF 1978/05/26  
          (2号)30,000 SF 1996/03/01  
4 鬼首地熱発電所 宮城県 大崎市 電源開発(株)   15000 SF 1975/03/19  
5 大沼地熱発電所 秋田県 鹿角市 三菱マテリアル(株)   9500 SF 1974/06/17  
6 澄川地熱発電所   東北電力(株) 三菱マテリアル(株) 50000 SF 1995/03/02  
7 上の岱地熱発電所 秋田県 湯沢市 東北電力(株) 東北自然エネルギー(株) 28800 SF 1994/03/04  
8 柳津西山地熱発電所 福島県 柳津町 東北電力(株) 奥会津地熱(株) 65000 SF 1995/05/25  
9 土湯温泉16号源泉バイナリー発電所 福島県 福島市 つちゆ温泉エナジー(株)   400 B 2015/11/16 F
10 ホテルサンバレーバイナリー発電所 栃木県 那須町 (株)ホテルサンバレー那須   15 B 2016/07  
11 八丈島地熱発電所 東京都 八丈町 東京電力(株)   3300 SF 1999/03/25  
12 七味温泉ホテル渓山亭 バイナリー発電所 長野県 高山村 七味温泉ホテル(株)   20 B 2014/04/03 F
13 東伊豆町温泉発電所 静岡県 東伊豆町 東伊豆町   3 B 2014/03  
14 湯村温泉観光交流センター 薬師湯温泉バイナリー発電所 兵庫県 新温泉町 新温泉町   40 B 2014/04/10  
15 湯梨浜地熱発電所 鳥取県 湯梨浜町 協和地建コンサルタント(株)   20 B 2015/10/05 F
16 小浜温泉バイナリー発電所 長崎県 雲仙市 洸陽電機(株)   200 B 2015/09/11 F
17 小国まつや地熱発電所 熊本県 小国町 (合)小国まつや発電所   50 B 2014/05 F
18 わいた地熱発電所   合同会社わいた会   1995 SF 2014/12 F
19 杉乃井地熱発電所 大分県 別府市 (株)杉乃井ホテル   1900 SF 2006/04/01  
20 KAコンティニュー発電所   KAコンティニュー(株)   48 B 2013/01/17 F
21 五湯苑地熱発電所   西日本地熱発電(株)   92 B 2014/01/17 F
22 タタラ第一発電所   日本地熱興業(株)   49 B 2014/07/08 F
23 別府スパサービス発電所   (株)別府スパサービス   125 B 2014/09 F
24 湯山地熱発電所   西日本地熱発電(株)   100 B 2014/10/30 F
25 コスモテック別府 バイナリー発電所   (株)コスモテック   500 B 2014/11/30 F
26 瀬戸内自然エナジーXLT発電所   (株)瀬戸内自然エナジー   110 B 2015/10 F
27 亀の井発電所   地熱ワールド工業(株)   11 T 2014/11 F
28 南立石温泉熱発電所   (株)平和建設   49 B 2015/04 F
29 湯布院フォレストエナジーバイナリー発電所 大分県 由布市 湯布院フォレストエナジー(株)   50 B 2015/08 F
30 滝上発電所 大分県 九重町 九州電力(株) 出光大分地熱(株) 27500 SF 1996/11/01  
31 九重地熱発電所   (株)まきのとコーポレーション   990 SF 2000/12/01 F
32 大岳発電所   九州電力(株)   12500 SF 1967/08/12  
33 八丁原発電所   九州電力(株)   (1号)55,000 DF 1977/06/24  
          (2号)55,000 DF 1990/06/22  
  八丁原バイナリー発電所   九電みらいエナジー(株)   2000 B 2006/04/01  
34 菅原バイナリー発電所   九電みらいエナジー(株) 九重町 5000 B 2015/06/29 F
35 大霧発電所 鹿児島県 霧島市 九州電力(株) 日鉄鉱業(株) 30000 SF 1996/03/01  
36 霧島国際ホテル地熱発電所   大和紡観光(株)   100 SF 2010/11/01  
37 山川発電所 鹿児島県 指宿市 九州電力(株)   25960 SF 1995/03/01  
38 メディポリス指宿発電所   (株)メディポリスエナジー   1410 B 2015/02/18
        総合計 521,337      

 

 

出典:日本地熱協会   2016/10
発電方式        DS:ドライスチーム SF:シングルフラッシュ DF:ダブルフラッシュ
            B:バイナリー T:トータルフロー
認可/認定出力(KW)   FIT制度創設(2012/07)前に稼働した発電所は認可出力
            FIT制度創設後に稼働した発電所は認定出力

地熱発電のデメリット

地熱発電に適した候補地の多くが、近くに温泉地があり新たに泉源を掘削する場合、温泉組合の同意が得られにくいこと、候補地の多くが国立公園・国定公園に指定されており新規開発に多くの制約を受けること、そして10MW以降の地熱発電所を建設する場合は、事前に環境アセスメントの実施が義務づけられていると言った問題があります。
従って新たに泉源を掘削し大規模の地熱発電所を建設する場合、発電を開始するまでに最低でも11年から13年の年月が必要となります。
また地熱発電では、設置状況から発電に使用される設備が火山性ガスに含まれる硫化水素や二酸化硫黄などに常時さらされるという問題があります。特に電気系統の腐食は、発電停止や重大事故につながることとなり日頃のメンテナンスが欠かせません。
当社の場合、発電所の規模が小さいことと既存の泉源を利用することから設置に当たっては大きな問題は発生しませんでしたが、新たに泉源を掘削する場合は、注意が必要です。
火山性ガスなどの影響については、運用段階における試行錯誤を続けながらそのノウハウを蓄積しているところです。

 
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