アイスランド視察レポート

アイスランド視察レポート 山崎 勝 廣岡泰三

2016年9月5日〜9日

はじめに

世界屈指の地熱国であるアイスランドの地熱発電所及びカスケード二次利用の現状と将来性を体感しつつ日本での取組をイメージして海外視察を行った。
アイスランドは人口32万人、主な二次産業は無く漁業が盛んで世界でも数少ない商業捕鯨を行っている国でもある。
面積は北海道の1.2倍(103,000平方キロメートル)首都はレイキャビクで、世界で一番北にある。
北海道より北に位置(北緯64度8分)しているが、近くに暖流が流れている為9月でも15℃位で、長袖・ジャケット程度の服装で過ごせる。
この時期頃からレイキャビクでもオーロラが見られる。

 

視察目的

今回の海外視察は、次期 地熱発電の有望地として考えている北海道弟子屈町のプロジェクトに不二熱学工業が参入する為の知識向上と関係者へのプレゼン資料及び説得材料を目で見て実感すること。

 

アイスランド1日目

アイスランドを代表する観光スポットがゴールデンサークルである。
ストロックル間欠泉(ゲイシールの間欠泉)、シンクヴェトリル国立公園、グトルフォスの滝の3か所では、地球の鼓動を肌で感じる迫力満点の景観を楽しむことができた。

 

No.1 ストロックル間欠泉(ゲイシール間欠泉)

ここは、広い高原の中に温泉が噴き出る大きな水溜りが数カ所点在する場所である。
イメージとしては、地獄谷の緩やかな高原といったところ。
一番大きな水溜りが約8分間隔で地球の呼吸とでも言える噴気を熱水と共に噴上げる。
高さは20m程まで達する為 風向きによっては見物客へ 熱湯がかかるので注意が必要。
現在ゲイシール間欠泉の活動は弱っている為、 定期的に噴上げストロックル間欠泉が観光名所となっている。

バラエティー番組でコメディアンが間欠泉を鍋代わりにしゃぶしゃぶをして、熱い熱いと言いながら逃げ惑うところが思い浮かぶ。

 

No.2 シンクヴェトリル国立公園

ここは地殻プレートが生まれ広がる始まりの場所。ユーラシアプレートが東に北米プレートが西に広がっている。
そのため各地でギャオと呼ばれる大地の裂け目が見られ、独特な岩肌を眺めることができる。
小さなグランドキャニオンといった景色が眼前に広がる。

 

No.3 グトルフォスの滝

最大幅は約70m、最大落差は1段目で約15m、2段目で約30mあり、アイスランド随一の規模を誇る滝である。
タイミングがあえば、綺麗な虹を見ることが出来る。

 

No.4 ヘトリスヘイジ地熱発電所(ヘッドリスヘイディ地熱発電所とも)

世界第二位の規模を持つこの発電所は、南西アイスランドのヘインギットルに位置しており国内一位の規模を持っている。
2011年10月には303メガワットの電力と133メガワットの熱湯を生み出してきた。
現在、電気出力400メガワットを目標にタービンを増設中。完成すれば世界最大級となる。
日本最大級の八丁原地熱発電所は110メガワット。
現在は、インドネシアのサルーラ地熱発電所の330メガワットが世界最大級。
地熱蒸気量に対しての発電割合は、7割程度である。

 

この発電所は見学するための施設が整っており、訪れた時も 多くの見学者で賑わっていた。

スタッフよる説明は普段行っていないが、今回は特別にお願いをして現地スタッフに説明をして頂いた。
生産井の深さは、2,500m。掘削費用は1本あたり約5億円とのこと。
現在、生産井(地熱蒸気を取出井戸):60本 還元井(使用した蒸気ドレン水を戻す井戸):6本で運用しているとのこと。

 

2階ホールからガラス越しに直接タービン建屋内を見ることが出来る。

 

また2階ホールには、熱水プラントからレイキャビックの各家庭へ供給される配管の輪切りが展示されている。

 

2階ホールから屋外バルコニーへ出ると、馬鹿でっかい装置と雄大な景色を見ることが出来る。

 

アイスランド2日目

視察2日目は、アイスランドを代表する観光施設「ブルーラグーン」と併設する「スヴァルスエインギ地熱発電所」を見学した。
地熱発電所とカスケード二次利用の成功モデルとなった「ブルーラグーン」がどのようにして出来上がったのか探っていきたい。

 

No.5 ブルーラグーン

ブルーラグーンは、首都レイキャヴィークの南西約40kmに位置するアイスランドにある温泉施設。
(英語: Blue Lagoon, アイスランド語: Blaa lonid, 「青い潟湖」の意)

 

建物内は、全てに於てオシャレな感じに仕上がっておりスタッフの服装も黒色で統一されている。
完全予約制なので利用するには事前の登録が必要。

 

受付でICタグ付リストバンドとバスタオルを受け取り、2階更衣室で水着に着替える。

 

レストランでは、水着の上にガウン(レンタル)を着て食事されている人もいる。

 

ここは、自然に湧出する温泉ではなく、隣接するスヴァルスエインギ地熱発電所が汲み上げた地下熱水の排水を再利用した施設。

 

1970年代後半に地熱発電の副産物として作られ、1987年から温泉浴場として一般公開されるようになった。
排水は70度以上あり、それを38度前後に温度調節している。
面積は約5,000m2(競泳用50mプール4個分)を誇り、露天温泉としては世界最大。
温泉全体を一周するだけで10数分かかるほどの広さである。
深さは場所によってまちまちで、最深部は1.4mほどある。
温度も熱かったり冷たかったりとばらつきがあり、自分で場所を変えながら調節することで、
結構長時間楽しめる。
また温泉につかりながら利用できるバーもあり、ビール・アルコール類やソフトドリンクを飲みながらくつろげる。

 

ところどころに木で出来た島があり、そこで温泉を加熱している。恐らく 蒸気のようだ?
大きな露天風呂以外にも、泥パック、マッサージ、サウナ、打たせ湯などもある。

 

白濁した温泉水には高い皮膚病治癒の効果があり、アイスランド国内はもとより欧米各国からも多くの人が訪れる。
ケフラヴィーク国際空港から近いこともあり、アイスランド随一の観光スポットとなっている。
年間の入場者数は、40万人。入場料は40?〜50?。(日本円に換算すると4,500円〜5,600円。6〜8月が高い)
現在は、隣接している病院施設を拡張中。ますます規模が大きくなるのではと感じた。

 

No.6 スヴァルスエインギ地熱発電所

ケプラヴィークにあるヨーロッパを代表する地熱発電所。温泉入浴施設(ブルーラグーン)を併設。
2007年12月現在の発電出力は、76.5 MW、同時に 90℃ (194?) の熱水を1秒あたり約475リットルのペースで生み出している(およそ 80 MW に相当する)。
この発電によって生み出されたミネラル豊富な余剰水は、ブルーラグーンに利用されている。
この地熱発電所は見学は無いが、現地の方に事前に調整して頂き特別に見学させて頂いた。
「スヴァルスエインギ」(Svartsengi, IPA:?[?svar?s??i??c?])とはアイスランド語で「黒い牧草地」を意味する。

 

発電へ利用している生産井は26本×2セットで深さ1,800〜2,500m。還元井は2本×2セット。
地熱からの噴出蒸気量は、600kg/s 温度は240℃。発電装置に利用しているのは、550kg/s。
地熱蒸気中にあるCO2ガスを取出し、カーボンリサイクル燃料として15,000トンCO2/年を生成。
地熱蒸気量に対しての発電割合は、9割程度。

 

ORMAT製のバイナリー発電機 1.3MW×3基。温水利用温度は、90℃。

 

発電電力はアイスランドの25,000人分の電力として供給。
発電後の地熱熱水は、真水と熱交換して各家庭へ温水として供給。
過去に配管に穴が開く不具合が発生したことから、現在温水はph7以下に調整されている。
その後の地熱熱水(70℃以上)は、ブルーラグーンへ供給。供給量は25kg/s(1,500L/min)。

 

見学時に丁度 気水分離器1基の配管洗浄作業中。
配管内部には、厚さ20mm程のスケールが付着していた。定期的に洗浄作業を行う。

 

監視室は、ほぼ人が不在。
温泉雰囲気ガス(硫化水素ガス)による電気・電子のトラブルは、まったく無いとのこと。
ケースに入った模型の水色の部分は、昔 発電後の排地熱熱水を垂れ流しにして出来た
ブルーラグーンの原形。

 

まとめ

これと言う産業が無いアイスランドは、自然豊富な環境と地下資源と水に恵まれた綺麗な島国である。
ぱっと見はアイスランドとグリーンランドの名前が逆の方が良い様にも思われるほど緑が豊富で、地熱・水力の自然エネルギーを最大限に利用して電力と給湯を生み出している。
自然と共存しながらエネルギーを作り出し、カスケード副産物で年間40万人が訪れる温泉施設(ブルーラグーン)は、他にも類が無い施設である。
今では観光立国へと変わりつつあり、年間約100万人の観光客がゴールデンサークル・ブルーラグーン・氷河・オーロラ観測と訪れている反面、自然破壊も深刻な問題の様である。
自然と共存しながら、永遠にエネルギーを作り出して行って欲しい。
地熱エネルギーも永久的なものでも無い。地震や地下変動で枯渇する可能性はあるが、近いうちに検討する必要が来るのかも知れません。

 

感想

多額の経費と時間を頂き、アイルランド視察をさせて頂きありがとうございます。
北欧へは初めて訪れ、只々見るものすべてが美しく綺麗でした。
自然・ブルーラグーン・地熱発電とスケールが大きく、立地条件的にも素晴らしいかったです。
次の地熱発電の有望地に、自然と共存・共栄した地域活性ビジネスとして、日本へ展開するヒントにしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 


関連ページ

平成30年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。
平成29年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。
平成28年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。
平成27年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。
平成26年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。
平成25年度
当社は五湯苑地熱発電所の開設以来内外から毎年多くの視察者を受け入れています。

 
マイクロバイナリーとは 噴気レンタル 地熱発電の運用技術 視察受け入れ 当社の取り組み